Fuki氏の投稿した「Scp 2445 Jp」におけるRateモジュールは、Rate数が正しく表示されないためガイド違反であると判断されました。
スタッフにより、以下の内容で指摘が行われています。
Fukiさん
このページのクレジットモーダル内のRateモジュールの文字色が背景色と同化し、Rateが視認できない状態となっております。これはRateモジュールデザインガイド 2.4.視認性に違反するものです。クレジットモーダルの修正をお願いします。技術的な問題があればスタッフに問い合わせてください。
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-14-5ede
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-5-c668
上記の下書きでFuki氏によりage行為が行われました。よって以下の文面で誘導を行いました。
Fukiさん。こちらの下書きはこちらのものと同一の記事の下書きであると思われます。
同じ内容の下書きで複数ページを作り、批評を受けようとする行為は、age行為と見なされ「サイトルール:義務:2.議論:8.スパム的投稿」に抵触します。よって、こちらの下書き批評ページについては批評終了状態としました。改稿を行った後に再度批評を募集する場合でも、1度批評を募集した場合、そちらの下書きページで批評募集を再開するようにしてください。
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-18-53ec
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-23-bca4
上記の下書きでFuki氏によりage行為が行われました。よって以下の文面で誘導を行いました。
Fukiさん。こちらの下書きはこちらのものと同一の記事の下書きであると思われます。
同じ内容の下書きで複数ページを作り、批評を受けようとする行為は、age行為と見なされ「サイトルール:義務:2.議論:8.スパム的投稿」に抵触します。よって、こちらの下書き批評ページについては批評終了状態としました。改稿を行った後に再度批評を募集する場合でも、1度批評を募集した場合、そちらの下書きページで批評募集を再開するようにしてください。
サンドボックスⅢにおいて、以下のページでタグの直接編集が行われました。
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/sharedpage:7741d5ee-1601796512583-categorya
不正タグの除去と以下の内容での指摘を行いました。
Fukiさん
本サイトにおいて、タグの直接編集は禁止されています。タグの差し戻しを実施しました。
サンドボックスⅢ利用ガイドのご確認をお願いします。
本ポストへの返信は不要です。
サンドボックスⅢにおいて、以下のページでURLの直接編集が行われました。
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-2-5261
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-14-5ede
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-25-7b56
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6546777-29-2419
元のページ名への再リネームと、以下の内容での指摘を行いました。
Fukiさん
本サイトにおいて、ページのURLを変更(リネーム)することは禁止されています。変更前のURLに再リネームを行いました。
サンドボックスⅢ利用ガイドを再度ご確認いただくようお願いします。
本ポストへの返信はしないでください。
Administrator & Software Engineer of SCP-JP
氏が投稿したTale「訓練譚」(削除済み)について、小説「教場」(長岡弘樹・小学館)との類似が指摘されており、サイトスタッフが内容を保存の上確認したところ、偶然の一致とは考えにくいほど多くの類似点が発見されました。
類似点
『訓練譚』第1文
欠伸をしたくてたまらない。
『教場』第1文
触りたくてたまらない。
『訓練譚』第2-3文
大森信介は、これ以上我慢するのをやめた。持っていたシャープペンをノートの上に置き、空いた手を口元へそっと持っていき、欠伸をした。
『教場』第2-3文
宮坂定は、もうこれ以上我慢するのをやめにした。ボールペンをノートの上に置き、空いた手をこめかみの辺りへそっと持っていく。
『訓練譚』第4-7文
ほんのりミントの香りがする。やはり海外から取り寄せた歯磨き粉は市販のよりちゃんとミントの香りがする。昨晩、寮の自室でこの歯磨き粉を楽しみに使ってみたが、やはりいい。取り寄せて正解だった。
『教場』第4-6文
やはりいい。五分刈りにしたばかりの頭は格別の手触りだ。昨晩、寮の自室でこの感触を楽しみ尽くしたつもりだったが、まだまだ撫で足りない。
『訓練譚』第8文
「いいか、ここは特に重要なとこだ。ちゃんと覚えておけよ」
『教場』第7文
「いいか、ここが重要なポイントだ。ちゃんとメモしとけよ」
『訓練譚』第9-11文
質素な教室に響き渡るその声に、大森は口元から手を離した。シャープペンを握り直し、前方にある黒板へと目を向ける。黒板の辺りにいるのは機動部隊-12の隊長であり訓練官、斉藤は、手にしている出席簿を睨みながら続けた。
『教場』第8-10文
教場に響き渡ったその声に、宮坂は仕方なく頭髪から手を離した。ボールペンを握り直し、前方へと目を戻す。黒板の前に立つ教官、植松は、手にした出席簿を睨みながら続けた。
『訓練譚』第12-13文
「そこ、誰だ?松山か。早く来い」
「はいっ」
『教場』第11-12文
「次、三班。誰だ?平田か。早く来い」
「はいっ」
『訓練譚』第14-15文
右隣の席にいた松山綱紀の返事は、緊張のせいか上擦っているように聞こえた。前へ出て教壇に上がった松山に、斉藤は背を向けた。
『教場』第13-14文
左隣の席に聞いた平田和道の返事は、緊張のせいかやや上擦っていた。前に出て教壇に上がった平田に、植松は背を向けた。
『訓練譚』第16-25文
「始め」
松山が斉藤に近づきレプリカのハンドガンを取り出した。「あなたは何者ですか?」
「はぁ」斉藤が振り返った。「いきなり何ですか、私は今日ここに配属された研究員ですよ」
「失礼、少し聞きたいことがあるので」
「何ですか」
「私の職員コードですか?何故あなたに教える必要があるのですか」
『教場』第15-24文
「始めろ」
「あの、もしもし」平田が植松に近づきながら警察手帳を取り出した。
「はあ」植松が平田を振り返った。「何でしょうか。わたし急いでいるんですけど」
「お時間は取らせません。少しお訊ねしたいだけです」
「なに」
「まずは、あなたのお名前です。教えていただけますか」
「わたしの名前?わたしがどうして、あなたに名乗らなきゃいけないんですか」
『訓練譚』第16-25文
松山は目を泳がせたまま口を閉じたままだった。短いようで長く感じる沈黙がこの教室に続いた。
『教場』第15-24文
平田は口を半開きにしたまま目を泳がせた。ええっと……。呟くような声が、教場の最後列に座るこちらの耳にまではっきりと届いた。
『訓練譚』
「まぁ、いいでしょう」
「まあ、いいでしょう」
『訓練譚』
斉藤は、胸ポケットから職員コードが記された名札を松山に見せた。「これが私の職員コードですよ」
『教場』
植松は、片手をズボンのポケットにすっと差し入れた。「私の名前は植松と申します」
『訓練譚』
「では、あなたの持ち物を見せてもらいます」
斉藤が、手にしていたファイルを自分で見せるような素振りを見せる。
『教場』
「では植松さん、持ち物の中身を見せてもらえますか」
植松が、手にしていたポーチを自分で開けるような素振りを見せる。
『訓練譚』
「拝見させてもらいっ……」
ファイルの中身を見ようとした瞬間だった。斉藤は足首辺りに隠していたナイフを松山の首──頸動脈がある辺りに突きつけた。
「……十点だな。甘めにみても」
松山は固まった。その他の訓練兵も咄嗟の出来事に声を出せずにいた。
「ここまでだ」
『教場』
「待ってください。私が確認させてもらいます」
そのポーチを受け取ろうと、平田が手を前に伸ばしたときだった。
「てめえっ」
突然、植松は怒鳴り声を上げた。
「このポリ公が、気安く人の物に触るんじゃねえ!」
平田は色を失って固まった。他の学生たちも同じだった。
「よし、ここまで」
『訓練譚』
斉藤がナイフをしまうと、皆弛緩した。
松山は瞬きを何度かしたあと、息苦しくなったのか、深呼吸を数度した。
『教場』
植松が軽く片手を挙げると、教場の空気がふっと弛緩した。
平田は眼鏡の奥で何度か瞬きを重ねたあと、息苦しくなったのだろうか、ネクタイの結び目に手を触れた。
『訓練譚』
「松山。言っとくが、いきなりナイフを突きつけられて何も出来ないようじゃあ、部隊兵として情けないぞ」
「すいません……」
「ところで、俺がナイフを隠していたことを知っていたか?」
無言のままの松山に、斉藤の表情は険しくなった。
『教場』
「おい平田。言っとくがな、いきなり大声を出されて怯んでいるようじゃあ、警察官は務まんねえぞ」
「……すみません」
「ところでおまえ、いまおれがポケットに手を入れたところを、ちゃんと見てたか?」
え、いや、あ、はい。曖昧な返事に、植松の表情が険しくなる。
『訓練譚』
「どうなんだ」
「……分かりませんでした」
『教場』
「どっちなんだ」
「……見落としました」
『訓練譚』
「何度か言ったはずだよな。ひ弱な研究員だからと言って、相手の行動や服装から敵の工作員か予測しろって。本当だったら死んでいたぞ」
「本当にすいません」
「まぁ、席に戻れ」
そう言ってから、再度訓練兵たちに向き直った。
『教場』
「もう何度も言ったはずだよな。職務質問中は、相手の動きから目を離すなって。いきなり刃物でも取り出されたらどうすんだよ」
「申し訳ありません」
「そんなざまじゃあ、親父さんが泣くぞ」
植松はさらにもう一度、ポーチで平田の、今度は尻を叩き、戻れ、というように顎を振ってから、学生たちへ向き直った。
『訓練譚』
「よく聞けよ。機動部隊は敵性オブジェクトを鎮圧や抑制するだけではない。財団の機密情報の漏洩防止や有力研究員の防衛も任務の一つとなっている──」
『教場』
「よく聞け。昨年一年間に、(中略) という数字で──」
『訓練譚』
ここで一度咳払いをして、言葉を切った。唾が気管に入ったのか、腰を曲げ本格的に咳き込んでいた。
『教場』
ここで一度言葉を切ると。植松は咳払いをした。いや、咳払いではない。唾が器官に入りでもしたか、腰を折り曲げ本格的に咳き込んでいる。
『訓練譚』
ふと、大森は教室のドアを見やった。
『教場』
その隙に、宮坂は教場のドアを見やった。
『訓練譚』
またいる。昨日もドアの小窓から教室を覗いている。五十後半。茶髪混じりの頭。何かを監視しているような鋭い目…。
『教場』
まだいる。(中略)ドアの小窓から教場を覗いている。五十がらみ。白髪頭。焦点の定まらない義眼のような目…。
『訓練譚』
昨日の発砲訓練でも発砲場の隅に立っていた、先週の基礎訓練時も、校舎の窓からグラウンドにいるおれたちを覗いていた。この人が質疑想定実習の授業に現れたのは、少なくても二回だ。
『教場』
先週、刑事訴訟法の授業中も同じように立っていたし、先々週の教練時は、後者の窓からグラウンドにいるこちらを見下ろしていた。この男が地域警察実務の授業に現れたのは、これで二回目だ。
『訓練譚』
最後に見たのは終了五分前に、覗きに来ただけだったか。けど、三十人を五つの班に分けて行う質疑想定実習となった今日の訓練では、一班の代表者が実施したときには、既にあの人は窓から覗いていた。
『教場』
前回はたしか、終了間際に、ちらりと覗きに来ただけだった。だが、一学級三十七人を四つに班分けしての職務質問想定実習となった今日の授業では、一班の代表者が前に出たときから、すでに彼の姿はドアの向こう側にあった。
『訓練譚』
いったい誰なんだ。ここの訓練校の上官なのか……
『教場』
いったい何者か。この警察学校の関係者であることは確かなのだろうが……。
『訓練譚』
「えぇ、つまりだな」咳払いを止めた斉藤が、後ろで手を組ながら続けた
『教場』
「つまりだ」ようやく咳を止めた植松が、左の肩を自分で揉みながら言葉を継いだ。
『訓練譚』
「質疑はエージェントだけの仕事ではないことだ。決して侮ったり、楽観視するな。いいな。──次、三班。誰だ、代表者は?」
「はいっ」
大森は起立して、教壇に向かった。
『教場』
「職質は地域警察官にとって最重要の部類に入る仕事ってことだ。(中略)決して侮るな。分かったか。──よし、次が四班。誰だ。」
「はいっ」
宮坂は起立し、教壇へ向かった。
『訓練譚』
「失礼、あなたは誰ですか」
背を向けた斉藤にレプリカのハンドガンを向けながら近づくと、微かに日本酒の臭いがした。明日から禁酒する──昨日の一限に訓練兵の前で高らかに宣言した誓いは、一日も持たずに破られたようだ。教官のくせに情けないと心の中で思った。
『教場』
「すみません。どちらへ行かれます」
背を向けた植松に声をかけながら近づくと、かすかに煙草の匂いがした。今日から禁煙するぞ──先週、ホームルームの時間に学生たちの前で口にした誓いは、一週間と経たないうちに破られたようだ。
『訓練譚』
「誰って、私はここの研究員だ」
まだ唾が気管に詰まっているのか、大声を出しすぎたせいなのか、振り向いた斉藤の声に先ほどまでの強みはなかった。
『教場』
「どちらへって、家に帰るところだよ」
さきほどから大声で喋り続けているせいか、いま激しく咳き込んだせいか、振り向いた植松の額には、薄っすらと汗の玉が浮いていた。(略)
『訓練譚』
「あなたが持っているファイルを拝見します」
「やめてくれないか。この中には機密性の高い情報が入っているんだ。財団の職員だからといって見せるわけにはいかない」
斉藤は誰にも取られないような仕草をする。
『教場』
「ちょっと持ち物を拝見します」
「またにしてくれよ。残業で疲れているんだ」
ふああ、と植松が欠伸をするふりをした。口元に手を持っていく。
『訓練譚』
「失礼、これも業務のため……」
「さっきも言ったが、財団の職員だろうが業務だからって素直に渡すわけがないだろう」
大森は口をつぐんだ。
『教場』
「すみませんが、そのポーチ開けてもらえま──」
「うるせえな。(中略)」
宮坂は口をつぐんだ。
『訓練譚』
「まったく。まぁいいよ、ほらご自由に」
斉藤がファイルの中身を取り出した。大森がその様子を黙って見てると、斉藤はふいにファイルを取り上げ、静かな声で言った。
『教場』
「なんだ、(中略)いいよ、ほら。」
植松がポーチを開けた。宮坂がその様子を黙って見ていると、植松はふいにポーチを教卓の上に放り投げ、静かな声で言った。
『訓練譚』
「気をつけ」
大森は背筋を伸ばした。
「銃を置いて、向こうを向けろ」
斉藤が顎で示したのはドアの方だった。言われたとおりにすると、窓越しにあの人と向き合う状態になった。あの人と初めて目が合ったことだった。
『教場』
「気をつけ」
宮坂は背筋を伸ばした。(中略)
「向こうを向け」
植松が顎で示したのはドアの方だった。言われたとおりにすると、窓越しに白髪の男と向き合う格好になった。彼と目が合ったのは、おそらくこれが初めてだろう。
『訓練譚』
「腕立ての姿勢だけをしろ」
その場で腕立ての姿勢をしながら、心の中ではどこか安堵していた。腕立て百回と言われたらどうしようと思ったが、確かに斉藤は腕立ての姿勢だけをしろと言ったのだ。よし、と声がかかったのは腕立ての姿勢を保ってから一分後ぐらいだった。
『教場』
「腕立て十回」
その場で腕立て伏せを始めながら、内心では拍子抜けしていた。「百回」の聞き間違いかと思ったが、植松が口にした数字は、たしかにその十分の一だ。止まれ、の声がかかったのは、十回目の伏せをしたときだった。
『訓練譚』
「そのまま三分間耐えろ。姿勢が崩れた場合、連帯責任として全員腕立て百回をしてもらうからな」
「……分かりました」
「話を変えよう、大森。おれがファイルの中身を一つ抜いたのを気がついたか」
「…すみません。気がつきませんでした」
『教場』
「そのまま動くな。よしと言う前に姿勢を崩したら千回に増やす」
「……はい」
「で、宮坂。おれがいま欠伸をしたのを、なぜ止めなかった」
「申し訳ありません。見逃しました。」
『訓練譚』
「もしその中身が既に盗まれた機密情報だった場合どうする?異常ありませんで終わったら一貫の終わりだ。違うか?」
「…そうです。すみませんでした」
『教場』
「もしおれが、手に覚醒剤のパケでも隠し持っていたならどうだ?飲み込まれちまったらおしまいだろうが。(中略)」
「すみません」
『訓練譚』
教壇の底に顎がつきそうになる。腕に十分な力が入らないからだ。昨夜、日課である筋トレで右肩を痛めたことがここに響くとは。
『教場』
教壇の板に顎がつきそうになる。腕に十分な力が入らないせいだ。昨日、剣道の授業で肩に負った軽い打撲が、こんなところで影響してくるとは思わなかった。
『訓練譚』
「さらに言えば、ファイル類やバック類を相手に開けさせる馬鹿がいるか。警察学校でさえ厳しく指導されていることだ」
斉藤がしゃがんだせいで、酒臭さがさらにきつくなった。
「お前が警察学校で学んだことは──」
頭をひぱったかれた。視界が揺れる感覚を覚えた。
『教場』
「それから、バッグ類を相手に開けさせる奴があるか」
(中略)しゃがみこんだようだ。煙草の臭いが少しきつくなる。
「おまえのこれは──」
右の耳朶をつままれ、引っ張られる感覚があった。
『訓練譚』
「何のためにあるんだ。さっきも言ったが盗まれた情報が機密性の高いものだったらどうするんだ。お前が全責任を負えるのか?負える訳がないだろう」
「…申し訳ありません」
「五点。甘めでつけてな。生易しい所じゃないんだぞ、ここは」
斉藤が遠退いた。そしてあるものを目の前に置いてきた。
『教場』
「何のためについてんだ。ああ?さっきも言ったはずだよな。中から凶器でも出されたらどうするんだって。てめえでてめえを守れないようじゃあ話になんねえぞ」
「……はい。おっしゃるとおりです」
「不合格。最低。平田も下手だが、お前は輪をかけて駄目」
植松が耳から手を離した。(中略)何かを放り投げるようなしぐさだった。
『訓練譚』
「これは…?」
「除隊届。さっきも言ったがここは警察学校ではない。俺たちが相手するのは世界を滅ぼす化物たちだ。お前がいても隊の邪魔になるだけだ」
「…やめる気はありません」
「やめてしまえ、お前には無理だよ」
今度は背中に重い負荷がかかった。斉藤は徐々に自分の体重を乗せてくる。
「…いえ、やめません。絶対に…」
「はぁ……」と酒臭い溜め息をついた斉藤は少し考えてから、体重をかけることを止めてこう告げた。
「ならその姿勢を次の授業まで続けろ。崩れた場合、すぐ除隊手続きをとるからな。──いいな」
『教場』
「で、いつだ」
「……はい?」
「いつなんだ」
背中の手に、植松は徐々に自分の体重を乗せてくる。
「いつ、と、おっしゃい、ます、と
「いつ辞めるんだって訊いてんだよ。(中略)」
『訓練譚』
次の授業まであと十五分。苦しさを少しでも紛らわすため、大森はドアの小窓ヘと目を向けた。そこにあの男の姿はいなかった。
『教場』
苦しさから意識を逸らすため、宮坂はドアの方へ目を向けた。白髪の男は姿を消していた。
『訓練譚』
顔の前にワイシャツを広げ、ぐっと目を近づけた。
『教場』
顔の前にワイシャツを広げ、ぐっと目を近づけた。
『訓練譚』
ここだ。脇の部分に小さな解れ。さほど大きくないとはいえ、解れには違いないのだ。
『教場』
あった。脇腹の部分だ。長さにして約三センチ。短いとはいえ、皺には違いない。
『訓練譚』
大森は再度、そこに針を当て直した。ようやく裁縫にも慣れたものだ。ここで球止めをする。入ったばかりで裁縫が出来ていなかった頃が懐かしく思えてきた。
『教場』
宮坂は再度、そこへ念入りにスチームを当て直した。ようやくアイロンがけにも慣れてきた。ボタンの部分は裏側からかける。(中略)そんな常識さえ知らなかった入校前が懐かしい。
『訓練譚』
「お前は誰だと思う、あの中で?」
部屋の外から話し声が聞こえたのは、裁縫道具を片付ようとしたときだった。
『教場』
「なあ、次はどいつだと思う、九十八期は?」
窓の外から誰かの話し声が聞こえてきたのは、ワイシャツを折り畳もうとしたときだった。
『訓練譚』
「さぁな、しいて言えば大森って奴かな。失敗ばかりしていると噂されているよ」
そっと壁に身を寄せて、聞く耳を立てた。
『教場』
「宮坂って奴だろ。ちょくちょくヘマをやらかすって話だ」
そっと壁に身を寄せ、姿勢を低くした。
『訓練譚』
ここは一階ですぐ近くには休憩所がある。そのため訓練兵たちの声が漏れ聞こえてくるのはおかしなことではない。だが、自分の名前を耳にしたのは初めてだ。声からして四十代ぐらい二人と思われる。恐らく去年の冬に入校している第百四十九期生だ。
『教場』
ここは一階で、窓のすぐ外にはベンチが設置されている。そのため、学生たちの話し声が聞こえてくることは珍しくなかった。しかし、自分の名前を耳にしたのは初めてだ。(中略)長期過程の学生に違いない。たぶん去年の秋に入校している第九十七期生だ。
『訓練譚』
「松山ってのも知っているか?」
「あぁ、確か親父さんが部隊の隊長だっけ」
「そうそう、親父さんもここにいたときは劣等生だったらしい」
「大森と松山、どっちも転職組か。同年代だっけ?」
「あぁ、松山の方が大森より二つ上だ」
「そうか。だけどあの二人、落ちこぼれ同士で仲がいいんじゃないか。ときどきつるんでいるし」
「つるんでいるというより、大森が松山にちょっかいをかけている感じだな。大森は昔、松山の親父さんにお世話になったとか、そんな話があるからな」
「まぁ、どっちにしろ落ちるのは二人のどちらかだな」
「だろうな」
「賭けてみよう、俺は大森に五千だ」
『教場』
「平田っての知ってるか?」
「ああ。たしか親父さんもサツ官なんだよな」
「そうそう、駐在所の息子。あいつもできが悪いって噂だな」
「宮田と平田、どっちも転職組か。同い年だったか?」
「平田の方が二つ三つ上だって聞いたな」
「そっか。だけどあの二人、落ちこぼれ同士で仲いいみたいだよな。ときどきつるんでるだろ」
「つるんでるっていうより、宮坂の方が平田にちょっかいを出してるって感じだな。宮坂は昔、平田の親父さんから世話になったとかならなかったとか、そんな話があるみてえだぞ」
「ま、何にしても、その二人のうち、どっちかだろうな」
「だろうな」
「じゃ、おれは本命の宮坂に三千」
『訓練譚』
次にこの訓練校を辞めさせるのは誰かを予想して、賭け事をしているらしい。今日は六月二十一日。入校してから一ヶ月と十一日ばかり過ぎた計算になっている。
『教場』
次にこの学校を辞めさせられるのは誰かを予想し、賭けをしているらしい。今日は五月二十四日。入校してから五十日ばかりが経った計算になる。
『訓練譚』
その間に第百五十期生の訓練兵が十人辞めている。全員成績不良と判断されたため除隊命令を迫られたのだ。十人目が去っていったのはちょうど二週間ほども前になる。ならば十一目が出てきてもそう不思議ではない頃なのだ。
『教場』
その間に初任科第九十八期短期過程の学生の数は、すでに四人減っていた。みな成績不良のため依願退職を迫られたのだ。四人目が去っていったのはもう二十日ほども前になる。ならば、なるほど、そろそろ五人目が出てきても不思議ではない頃かもしれない。
『訓練譚』
それにしても“賭け“か。
『教場』
それにしても“本命“か。
『訓練譚』
競馬まがいの扱いをされていることには、正直、文句の一つも言いたいところだった。しかし、ここは訓練校であるため、大事にはしたくない。その“賭け“が、いま自分たちのすぐ近くにいることを、彼らはまるで知らないように思えた。知っているならばこんなところでは噂をしないだろう。ならばこの二人は、ここではなく第二寮校の人達か。
と、今度は奥のほうでにわかに騒がしくなった。足音からして五人~十人であろう。今まで静かだった隣の部屋にも人の気配が戻ってきた。休暇を利用し、友人と温泉に行ってきた同期の本橋が、帰ってきたようだ。この『訓練校第一寮』は、全室が個室であった。とはいえ、横長の大部屋を縦に区切っただけだけの造りで、隣の様子はだいたい分かる。
『教場』
競走馬まがいの扱いをされていることについては、正直、文句の一つも言いたいところだった。しかし、年下とはいえ相手は先輩期だ、逆らうような真似は絶対にできない。
その〝本命〟が、いま自分たちのすぐ背後にいることを、彼らはまるで知らないようだ。知っていれば、こんな場所では噂はしない。ならばこの二人は、ここではなく第二寮の住人か。
と、今度は屋内の方がにわかに騒がしくなった。ドアの外から数人の足音が固まって聞こえてくる。
いままで静かだった隣の部屋にも人の気配が戻ってきた。土日の休みを利用し、気の合う仲間と連れ立って温泉に行っていた同期の石山が、ようやく帰ってきたようだ。
この『さきがけ第一寮』は、全室が個室だった。とはいえ、横長の大部屋を簡単なパーテーションで区切っただけの造りだから、隣の様子はだいたい分かる。
『訓練譚』
「大森さん、いますか?」
ドアの向こうから聞こえてきた本橋の声は、どこかやる気がないような感じがした。
「あぁ、ここにいる」
答えながら、大森はそっとドアを離れた。
「ただいま戻りました。ご苦労様です」
「おかえり。どうだった、湯加減は」
「最高でした、疲れがとれましたよ」
大森は時計を見た。午後三時半を過ぎていた。いまのところ、ここの門限は四時だ。本当なら、夕方の点呼が行われる午後五時までに帰ればいいのだが、ここで優先するのは、規則よりも教官の一言であった。外出禁止だった時期よりは、規制の締め付けの度合いも緩やかになったものだ。
「あ、お土産渡しますね」
本橋は、ポストに何やら小さな紙袋を置いた。こちらの方が年上のため、本橋は敬語を使っている。だが彼が取る態度は、言葉遣いほど丁寧とは言えない。この言葉遣いのなかに自分が年下の同期からどう思われているか分かるような気がした。紙袋を拾い上げた。『千尋温泉・温泉饅頭』と書かれていた。温泉饅頭か。包みからしてそれなりの値段がするものと考えられる。
「ありがとう」
紙袋を一度机に置くと、大森は部屋を後にした。小走りで廊下を南に向かう。警察学校でもそうだったが、四歩目からは駆け足だ。この規則に区別などない。三班の一人と出くわしたのは、渡り廊下の辺りであった。
『教場』
「宮坂さん、います?」
隣室から聞こえてきた石山の声は、妙なくぐもり方をしていた。パーテーションに顔を近づけ、手で口を覆いながら話しているようだ。
「いるよ」
答えながら、宮坂はそっと窓際を離れた。
「ただいま戻りました。留守番、ご苦労さまでした」
「おかえり、どうだった、温泉は」
「あと十泊ぐらいしたかったですね」
宮坂は時計を見やった。午後四時半だった。
いまのところ、日曜日の門限は夕方の五時だ。本当なら、夜の点呼が行われる午後十時三十分までに帰ってくればいいはずなのだが、ここで優先するのは、紙に書いてある規則よりも教官の一言だった。
もっとも四月中は完全に外出禁止だったことを考えれば、締め付けの度合いもだいぶ緩やかになったと言える。
「あの、これ、お土産です」
石山は、パーテーションと天井との間にあるわずかな隙間から、何やら小さな袋を落としてよこした。
こちらの方がいくらか年上のため、石山は敬語を使う。ただ彼が取る態度の方は、言葉遣いほど丁寧ではない。このちぐはぐさの中に、自分が年下の同期からどう見られているのかが表れているような気がする。
落ちた袋を拾い上げた。『硫黄乳白色・天然湯の花』と書いてある。入浴剤だ。パッケージの外見からして、温泉旅館が無料で配っているものらしい。
「悪いね」
袋を拾い上げ、ジャージのポケットに入れると、宮坂は部屋を出た。
小走りに廊下を北へ向かう。三歩目までは歩いてもいいが、四歩以上の移動となれば駆け足だ。この規則に平日と土日の区別はない。
四班の一人と出くわしたのは、娯楽室の前にさしかかったときだった。
『訓練譚』
相手の声はどこか無愛想そうだった。すれ違いざまに交わした視線も、険が入っていた。その理由は分かっている。昨日の三時限目のせいだ。質疑訓練の成績が低いため、担任教官でもある斉藤が、来週の月曜日までに課題文を書いて提出するよう命じられていた。しかし連帯責任として、三班の全員に同じ罰が課せられたというわけだ。それについては申し訳ないと心からそう思っている。
『教場』
思ったとおり、相手の声はどこか無愛想だった。すれ違いざまに交わした視線にも、かすかな険が含まれていた。
その理由ははっきりしている。一昨日の四時限目のせいだ。
職務質問の実習で成績が最低だったため、担任教官でもある植松から、明日までに反省文を提出するよう命じられていた。文章を書くのは好きな方だから、原稿用紙二十枚という分量は苦にしていない。だが連帯責任として、四班の全員に同じペナルティが課せられた点については申し訳ないと思っている。
『訓練譚』
渡り廊下を過ぎて、大森がふと立ち止まったのは、松山の部屋だった。ドアを数度ノックしても、返事はなかった。少し待ってみると眼鏡をかけ直している松山が出てきて、視線があった。
『教場』
娯楽室を通り過ぎ、宮坂が立ち止ったのは、平田の部屋の前だった。
ドアをノックする。だが返事はなかった。
[中略]
眼鏡をかけ直した平田と、鏡の中で視線が合った。
『訓練譚』
「やぁ、大森さん。これからですか?」
松山の表情は、一見するとにこやかそうにしているが、目の辺りの濡れ方が不自然であり、なにより涙を流した跡が顔に残っていた。さっきまで泣いていたのか。ここは警察学校とほとんど変わりはない。ただ『相手』が違うだけだ。夜間警備になった日には、よく部屋の中から、誰かの嗚咽を耳にする。死と隣合わせのここで精神を病んだ訓練兵も少なくない。
『教場』
「これからはじめるの? 手伝おうか」
平田の表情は、一見にこやかではあるものの、どこかぎこちなかった。目の辺りの濡れ方も不自然だ。やはり泣いていたようだ。
何かあったのか? その質問はするだけ野暮だろう。ここは「何か」だらけの場所だ。夜間警備の当番が回ってきたときなど、個室のドア越しに、よく誰かの嗚咽を耳にする。精神に異常をきたす者も一期に一人は出てくると聞く。
『訓練譚』
ここに入ってまだ日が浅い頃、前職について訊ねた際、松山がどう答えたかはよく覚えている。「警察官でした、交番勤務ですけど」と苦笑いをして答えたはずだ。
『教場』
入校して間もなくのころ、前職について訊ねた際、平田がどう答えたかはよく覚えている。「ビルの管理会社にいたよ」の後に、「デスクワークだったけどね」と付け加えたはずだ。
『訓練譚』
「三班は大森さんだけですか?課題文の他に、『各室不審物や禁止物がないか調査する刑』を食らったのは?」
「まぁ、そうですね。大体は俺のせいですから」
『教場』
「四班の中では宮ちゃんだけなの? 反省文の他に、『トイレ掃除一か月の刑』も食らっちゃったのは」
「ええ。なにしろ主犯ですから」宮坂は次の便器に取りかかった。「ところで、おれ、いま平田さんの部屋に寄ったんですよ」
『訓練譚』
《第一寮校の斉藤学級は、直ちに第二教室まで集合すること。繰り返す、第一寮校の──》
天井のスピーカーから聞こえたのは、斉藤ではなく伝達教員担当の林の声であった。急いで松山と一緒に第二教室ヘと向かった。第二教室は主に集合室として使われている広い場所だ。三十人の訓練兵が全員揃うのと同時に、教室に現れたのは、第一寮校の管理官である、宮北であった。その後ろには林の姿が現れた。大森はこの男が苦手であった。体重七十五キロ、合気道の担当教官である。入校したばかりの頃、この林からは、早々に重い一撃を食らっている。訓練だからといって本気の──時速十数キロはありそうな重く、強い拳を腹に受けている。しかし、大森が目を張ったのは、林ではない。林の後ろに隠れていてすぐには気づけなかったかが、一人、見覚えのある人がいた。
「君たちに伝えなければならないことがある」
教壇に立った宮北は、訓練兵を見渡した。
> 「斉藤教官は昨日殉職された」
このことに、訓練兵全員がざわついた。
「ある作戦途中に死亡したそうだ。斉藤教官の葬儀は後日行う。──話を変えよう。そこで、斉藤教官に変わり、新たに君たちの担当教官となった教官を紹介する」
『教場』
《植松学級の学生は、直ちに第三教場まで集合のこと》
天井のスピーカーから聞こえてきた、やけに野太いその声は、植松ではなく副担任の須賀のものだった。
急いでデッキブラシを用具入れにしまい、平田と一緒に校舎へ向かって走った。第三教場は、いつも朝のホームルームで使用している場所だ。
三十七人の学生全員が揃うのとほぼ同時に、教場へ姿を見せたのは、逆三角形の顔をした小柄な男だった。校長の四方田だ。
その後ろから須賀の巨体が入ってくる。この男は苦手だった。体重百二十キロ超の柔道担当。それだけでもう近寄りがたい存在だが、加えて、豪快そのものの体格とは裏腹に、細かい規則が何よりも好きだというからたまらない。
入校して間もない頃、この須賀からは、早々に体罰を受けている。自室から廊下に出た際、四歩目も「歩いた」と難詰された。百二十キロ超の平手打ちは、頬よりも首に応えた。
だが、宮坂が本当に注意を向けたのは、須賀で放った。巨体に隠れてすぐには気づかなかったが、もう一人、見覚えのある男がドアのそばに立っている。気になったのはそちらの方だ。
「君たちに連絡がある」
教壇に立った四方田は、いつものように眠そうな目で教場を見渡した。
「植松教官は昨晩入院した。しばらくのあいだ休職となる」
私語は厳禁だが、この報せにはさすがに教場の空気がざわめいた。
「心配するな。軽い肺炎だ。すぐに回復する。──そこでだ。植松教官が復帰するまでのあいだに、代理できみたちの担任を務める教官をこれから紹介する」
『訓練譚』
宮北が横を向いて、軽く頷いた。林の後ろにいた男が教壇に進み出る。その姿を大森は強く見つめた。あの人だ。教壇に立った男は訓練兵を郡狼のような眼球で見渡したあとにこう言った。
『教場』
須賀の陰にいた人物が前に進み出る。その横顔を宮坂は強く見つめた。
間違いない。ときどき授業の様子を覗きに来ていた白髪の男だ。
氏に対して、永久BAN処分が下されました。
http://scp-jp.wikidot.com/forum/t-13977620/fuki#post-4875717
Fukiさんが自主削除したtaleについて、Tale-JP一覧から消し忘れていたため削除しました。
削除報告:
当該メンバーの永久BAN処分が解除されました(サイトルール: 権利 3.行動 3.規制撤回の要求により)。
サイトスタッフによる議論が行われました。
http://05command-ja.wikidot.com/forum/t-14463381/ban-fuki